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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.45]自然と共生するリゾート。 ~自然環境を守るツーリズムのかたち~

目の前に琵琶湖、背に比良山系の山裾が迫る圧巻のロケーション。雄大な自然が広がる近江舞子を舞台に、京阪電鉄不動産株式会社は従来のリゾート開発とは異なる、環境保全型の新しいアウトドアリゾートの創出に取り組んでいます。貴重な自然の魅力を伝え、環境を知ることで持続可能な保護・保全につなげる。京阪グループが提唱する「BIOSTYLE」と響き合う、人と自然環境との共生をかなえる「近江舞子プロジェクト」の全容を紹介します。

「近江舞子プロジェクト」の舞台は
湖西エリア

京阪電鉄不動産株式会社には滋賀県大津市内の琵琶湖・湖西エリアに12haの保有地がありました。琵琶湖国定公園内にあることから、開発に際しては国定公園事業施行認可を受けて実施。開発において大切にしたのは、自然環境への徹底した配慮と地域と連携する運営スタイルです。できる限り自然のありのままの形、風土の個性を活かし、地域に寄与する整備をめざすことで、京阪グループが掲げる「BIOSTYLE」の推進につなげています。

コンセプトは「近江舞子トーンズ」

琵琶湖から内湖、湖畔、里山、比良山系へと、グラデーションのように連続する美しい景色。近江舞子の自然環境は、生態学では「エコトーン」と呼ばれる推移帯です。「トーン」とは、階調(グラデーション)のこと。自然は区切られることなく連続性をもって推移し、境界のないトーンの中で、多様性ある豊かさが生まれます。こうした水域から陸域に、なだらかに移り変わる近江舞子の多面性に富んだ自然をお手本にしようと、プロジェクトのコンセプトを「OMI-MAIKO TONES(近江舞子トーンズ)」と名付けました。受け継がれてきた豊かな自然と歴史・風土に包まれながら、人も自然の一部となって溶け合うような特別なアウトドアリゾートをかなえます。

OMI-MAIKO TONESのコンセプトムービーをご覧いただけます

グランピング施設『エバーグレイズ琵琶湖』が誕生

「近江舞子プロジェクト」の第1弾として、2021年4月20日に『エバーグレイズ琵琶湖』が誕生しました。広大な4haの立地に、趣の異なる8タイプ、35棟のキャビンを備える上質なグランピング施設では、自然に包まれながら優雅な時間を過ごせます。内湖へつながる水辺に面したウォーターフロントキャビンをはじめ、ペットと一緒に宿泊できるプライベートドッグラン付きキャビンなど、さまざまなライフスタイルに合った過ごし方が楽しめ、滞在を通して豊かな自然を体感できるのが魅力です。

キャビンにはシャワーやシンクなど水回りを完備。その他に常設の電気グリルでバーベキューをしたり、ハンモックでくつろいだり、焚き火を囲んでゆったり過ごすなど、贅沢なリゾートステイが楽しめます。

敷地内に活きる近江舞子の自然環境と風土

『エバーグレイズ琵琶湖』を散策するだけで、近江舞子の自然環境を肌身で感じることができます。ゆったりと流れる水路には水辺の植物が繁茂し、豊かな生態系が存在しています。目にする樹種に関してもランドスケープの専門家や地域の造園業者さんに選定いただくことで風土に合う植栽を実現。また、敷地内の石積みには比良山の花崗岩を使用し、地域の石材職人さんの手によって石積みをつくり上げています。

圧倒的自然を満喫するアクティビティ

ここには、野鳥や水生生物の観察、湿地帯を抜けて内湖へと漕ぎ出すカヌー体験など、他にはないアウトドア体験が待っています。地域の子どもたちとともに自然観察プログラムを実践し、環境と調和する持続可能な開発を学ぶ機会を設けています。事業の着手前には季節ごとに自然環境調査も実施。そこで確認された希少な動植物については専門家のアドバイスを受けながら生息環境に適するよう保全に努め、自然との健やかな共存を図っています。

第2弾、第3弾と
近江舞子の魅力を拡げる

この先も、琵琶湖を一周するナショナルサイクルルート「ビワイチ」に面する絶好の立地を活かし、アウトドアアクテビティの拠点を拡充させていく予定です。さらに、2006年に閉館した京阪グループの近江舞子ホテル跡地を再利用し、自然と日常のいい結び目となる新たなホテルも計画しています。グランピング施設、アクティビティ拠点、ホテルが整うことで、琵琶湖から比良山系へと拡がる自然と調和する、豊かな時間とライフスタイルを多彩に提案していきます。

自然と人が上手に循環し、共存共栄する未来のために
循環型のアウトドアリゾートをめざします

「近江舞子プロジェクト」について、開発チームでプロジェクト全体のコンセプトメイキングや事業計画・運営を担当する金田一郁子さんにお話を伺いました。

プロジェクトは、いつ始まったのですか?計画着工までの流れをお教えください。

「近江舞子プロジェクト」の舞台となる12haの土地は、旧京阪電気鉄道が約50年前に取得したものです。近江舞子は、かつては琵琶湖八景の地として知られ、浜の美しさと水質の清浄さからリゾート地として愛された、神戸や大阪からも観光客を集める人気のスポットでした。2016年、持株会社体制化に伴い、土地の所有権が京阪電鉄不動産へ移ったのをきっかけに、私たちが新しく計画を立ち上げることになりました。その頃、ちょうど認知されはじめたグランピング施設に着目し、自然と調和する施設を模索していた私たちの理念に合致するエバーグレイズさんと出会い、プロジェクトの第1弾となる施設実現の運びとなりました。

こちらの開発に際しては、困難が多かったそうですね。どのような点にご苦労されたのでしょう。

やはり琵琶湖国定公園内ということで、すべてが自然公園法の厳しい規制の中でのチャレンジになりました。開発にあたっては四季を通じて自然環境調査をする必要などもあり、じっくり約2年をかけて調査や手続きを進めました。いざ着工となってからも、ここは元々田畑で地盤が軟弱なうえに内湖の土が盛られた特殊な土地のため、我々が都市開発で培ってきた工法は通用せずに手探りの連続でした。しかしながら、そうした数々の課題をクリアしていく過程で、50年間手付かずであった分だけ自然環境がいきいきと残っていることが確認でき、これこそがかけがえのない魅力になる!と実感できました。

自然環境と共存しながらの開発、確かに難易度は高そうです。

先ほども述べたように、ここは内湖の土が盛られた上に水路を介して山からの土砂が堆積した特殊な土地柄です。いわば、元からある地形から大きく改変された部分があります。そこで開発・整備にあたっては、昔を知る地域の方々に丹念にヒアリングし、一緒に敷地を歩いていただいたりして、そこで確認できた本来あるべき姿に戻していくことが重要になりました。造成も、自然の形に沿うように整備をしています。棲息動物についても、一年間の自然環境調査でヒトスジキソトビゲラという絶滅危機増大種とコセスジゲンゴロウという重要種の希少生物が水路から見つかりましたが、生育できる環境を保全しています。さらに、敷地内にあった植物重要種のノウルシを別の場所に移植するなど、持続可能な環境づくりに努めています。

京阪電鉄不動産株式会社
事業推進部 金田一郁子さん

地域の子どもたちに向けて自然観察のフィールドワークも実践されているんですね。

はい。京都大学、京都府立大学、京都先端科学大学の先生方にご協力をいただいて、環境モニタリングを一緒に実施し、自然と共存する施設の在り方についてアドバイスを頂戴しています。その関連で、地域のお子さんたちと一緒に自然を学び、自然と触れ合う機会をつくっています。それらも、エバーグレイズの皆さんが賛同して協力くださるので実現できており、ありがたいことと感謝しています。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

自然の中に身をおいて、この環境をまずは心から楽しんでいただけたらと思います。そうして自然の恩恵に浴するほどに、自然との共生の必要性にも気づきます。アウトドアリゾートの整備を通じて、この近江舞子の豊かな自然を守りながら、にぎわいで地域の暮らしや営みにも持続性をもたらすことが我々のめざすゴールです。自然と人が上手に循環し、共存共栄して健やかに生きていける未来を築くために、循環型のアウトドアリゾートを第2期、第3期でも手がけていきたいと考えています。

街づくり、住まいづくりを通じて
魅力ある社会づくりへ

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2021年11月掲載

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