こころまち つくろう KEIHAN 京阪ホールディングス

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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.42]地域の交通を支え続けて約100年。 ~バスの安全安心、快適性向上への取り組みとは?京阪バスに密着取材~

京阪グループでは、沿線の皆さまの利便性向上により細やかに貢献できるよう、バス事業をエリア毎に5社で展開しています。なかでも京阪バスは、1922年の設立以来100年近くにわたり、地域の交通としての役割を果たしています。鉄軌道上を走る電車と違い、一般自動車とともに街の道路を走行し、お客さまとの距離も近いバス。その安全性や快適性は日々どのように守られているのでしょう。11か所ある営業所のうち、観光地である京都市内から大津エリアまでを網羅する山科営業所と、大阪エリアの拠点である枚方営業所を取材しました。

1日のスタートは健康確認から

お客さまの大切な生命を乗せて走行するバス。それゆえに、運転手の1日は安全点呼からスタートします。乗務前には必ず呼気を確かめ、アルコールが残っていないかをチェック。同時に健康状態を確認し、顔色が悪いなど体調のすぐれない様子がみられた場合は、乗務を取り止めることがあります。ハンドルは、心身ともに健全な状態でのみ握る。この当たり前のルールを徹底しています。また、乗務中は私物の携帯電話の持ち込みを禁止しており、運転に集中する環境を整えています。

五感をフル活動して、いざ乗車!

近年のバスは、車体そのものがさまざまな安全装置を備えていますが、人の五感による最終確認ももちろん怠りません。運転手は、タイヤの空気圧は適正か?ボルトにゆるみはないか?エンジン音に異常はないか?など、自分の目や耳、鼻などの感覚で必ず確かめてから乗務します。整備チームへの信頼感はもちつつも、「もしも、万が一」を確かめる。こうした姿勢によって、より一層の安全確保に努めています。

「3秒・3mルール」を守る

京阪バスでは、事故防止のため「3秒・3mルール」を導入しています。それは、①発進時3秒の確認(発車する際に3秒安全確認する) ②走行時3秒の車間(前の車との車間を3秒空ける) ③停車時3mの車間(停まる際は3mの車間距離を空ける)。このように運転手にとってわかりやすいルールを導入することで、安全運転の強化につなげています。

より安全に、快適に進化するバス

お客さまに安全かつ快適にご乗車いただけるよう、バスも進化しています。安全面でいえば、車内事故防止の観点から「にぎり棒」を増やす、高い位置になるタイヤ上の座席を廃止する、優先座席を横向きから前向きへ変更するなど、危険を回避して安心してご乗車いただける車内環境を順次整備しています。また運行面では、LEDヘッドライトを採用することで夜間の視認性を向上させているほか、ドライブレコーダーを全車に装備。これによって詳細な運行の検証が可能となり、安全性の向上に寄与しています。さらにアンチロックブレーキシステムの搭載によりタイヤのロックを防止し、安定した車両姿勢を確保できるようになりました。一方、快適性を高める装置として「ニーリング機能」を搭載。停留所停車時に車体を下げることによって、スムーズに乗り降りしていただけるようサポートします。また車椅子をご利用のお客さまに、安心してご乗車いただけるようスロープ板を備え付けています。

装置を使いこなす訓練も怠らない

山科営業所では、比叡山の中腹に広がる住宅地・比叡平(ひえいだいら)へも運行しています。冬には降雪に見舞われることの多いエリアであり、また、山中越えという起伏のある細い山道を走行するため、雪に備える必要があります。スタッドレスタイヤでは不十分な場合があるので、いざという時に備えてタイヤにチェーンを取り付ける訓練をシーズン前に必ず実施します。取材時、チェーン装着の訓練とともに、車椅子をご利用のお客さまの乗車をサポートする訓練を実施していました。全員が適切な対応ができるように、知識とスキルを常に共有しておく。そんな安全性と快適性向上への姿勢が貫かれています。

  • ■タイヤチェーン装着訓練
  • ■車両の左右後方死角確認訓練
  • ■乗車サポート訓練

厳格な整備基準を設けて点検·整備

普通自動車同様、バスも「走る」「曲がる」「止まる」動作を行いますが、使用年数や走行距離などは普通自動車と比較になりません。そのため京阪バスでは点検・整備に関して独自の基準を設けています。たとえば普通自動車は1年ごと、一般路線バスは3カ月ごとの定期点検が法令で定められていますが、京阪バスでは、法令の半分となる45日ごとに点検を実施。短い周期で点検することにより、未然にトラブルを防ぐ努力をしています。

安全安心・快適な
バスの提供が整備士の使命

バスをご利用いただくお客さまの安全と快適を提供すること、それが整備士の使命です。知識と経験を生かして、あらゆる角度から悪くなりかけている箇所を探し出し、先手を打って保守することで故障を未然に防ぎます。バス製造メーカーの検査基準よりもさらに厳しい京阪バスの基準に沿って、各装置に異常はないか?オイルやエア漏れはないか?亀裂や緩みはないか?など徹底した故障予防を日々行っています。

街の交通インフラを支える主役としての誇りを胸に、
愛されるバスをめざす

京阪バスがめざす安全性の向上や、これからの展望について山科営業所の明瀬 実(みょうせ みのる)所長にお話を伺いました。

今日はチェーン装着の訓練も見せていただき、皆さんの熱心さに感心しました。

「最近は温暖化もあって京都市内に雪が降ることは少なくなりましたが、冬の比叡平への運行にはチェーン装着することがあります。降雪予報の日には、始発バスの前に道路へ融雪剤を撒きに行くんですよ。そのようにして道路の凍結を予防します。お客さまの見えないところでも、安全のため万全を期しています」

ところで、運転手さんや整備士さんは男性ばかりなんでしょうか。

「いえ、女性運転手も在籍していますよ。最前線でお客さまと接する運転手は、技術職である以上にサービス職の側面もあります。その点で言えば、人あたりのやわらかい女性は向いていますし、やりがいを感じてもらえる職種だと思っています。当営業所でも、仮眠室やトイレなど女性専用の施設を充実させています。今後は女性運転手のみならず、女性整備士にもどんどん活躍してもらいたいと思っています」

環境に対する取り組みなどもされていますか?

「もちろんです。京阪グループバス全体で自動アイドリングストップ装置付きの車両などの低公害車両を積極的に導入しています。また、エコドライブの推進による燃費の改善や、燃料使用量の抑制、照明のLED化による電力消費量の削減など幅広く環境負荷低減に取り組んでいます」

京阪バス株式会社
山科営業所 明瀬 実 所長

街のすみずみまで網羅して走るバスは地域にとってかけがえのない存在ですね。

「現在、京都駅から関西国際空港行きの路線があるのですが、第1便に間に合うよう始発は4時半に出ています。一方で夜は、電車の終電後も皆さまの帰宅を考慮して午前0時を過ぎても走っています。電車が及ばないエリアや時間帯をカバーし、暮らしの一番近くにある公共交通機関がバスです。また年を追うごとに車椅子をご利用になるお客さまが増えています。これから高齢化社会がさらに進むと、ますますバスは地域の交通インフラを支える主役になっていくと思います。自分たちが地域の皆さまの移動手段を担っている。その誇りを胸に、もっとお客さまから必要とされ、愛され、信頼されるバス会社となれるように全員一丸となって頑張っていきます」

次世代型モビリティサービスの社会実装に向けて

近年バス業界では運転手不足が深刻化する一方、超高齢化社会を迎え公共交通機関の重要性が年々増しています。
こうした背景のなか、京阪バスは大津市、日本ユニシス(株)と共同で、大津市において自動運転バスの実証実験に取り組んでいます。2019年3月の実証実験に続き、同年11月にJR大津駅前から琵琶湖ホテルを経由して、びわ湖大津プリンスホテルまでの区間で実証実験を行い、限定エリアで運転手が乗車しない「レベル4」での自動運転も行いました。この実証実験で得られた検証結果をもとに、自動運転をはじめとする次世代型モビリティサービスの社会実装を目指していきます。
また、同年11月には大津市内および比叡山エリアにおいて、「MaaS(Mobility as a Service)」の実証実験も行い、エリア内移動の利便性向上、誘客・周遊の促進への寄与を検証することで、エリアのさらなる活性化に役立てていきます。

2019年12月掲載

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