こころまち つくろう KEIHAN 京阪ホールディングス

MENU開く

こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.46]人が守り、支え、築く安全安心。~京阪電車の安全安心は、一人ひとりの技術や想いが支えています~

イメージキャラクター「超ひらパー兄さん」や、意外なアトラクションの楽しみ方などで常に話題を提供しているひらかたパークは、2022年10月に開園110周年を迎えました。継続して営業する遊園地としては、日本で最古の遊園地となります。「そのとき、楽しい!と感じていただけるものをお届けする」姿勢で変わり続けてきた一方で、開園以来ずっと変わらず大切にしているものがあります。変えてゆくために、変わらず動き続けてきた、ひらかたパークの創造と継承、その2つの側面をレポートします。

動き続けて110周年

1912年の枚方菊人形の初開催から数えて110年。ひらかたパークは京阪電車の旅客誘致の顔として、また、沿線の皆さまの憩いの場として、その歴史を重ねてきました。開園当初から続いた菊人形展は枚方の名を全国に知らしめた秋の風物詩となり、最盛期である1974年には開催中84万人もの人でにぎわいました。しかし、菊師をはじめとする制作関係者の高齢化と後継者不足により、これまでの規模と内容を維持することが難しくなり、2005年に惜しまれながら閉幕します。一方で、時代に沿った新しい遊園地像を模索し続け、1996年の大規模リニューアルを契機に大胆な広告で新しいイメージを打ち出しました。今ではお馴染みとなった「ひらパー」の愛称とユニークな存在感は、この時に形づくられ現在まで引き継がれています。

変わらぬ楽しさのために、変わり続ける

家族みんなで楽しめるレジャースポットとしてエンターテインメントを牽引してきた遊園地ですが、2000年代に入ると取り巻く環境は一変します。少子高齢化やレジャーの多様化、大型テーマパークの誕生に伴って関西の遊園地は閉園が相次ぎました。そうしたなかで、ひらかたパークは攻めの姿勢を崩すことなく、「お客さまに楽しんでいただくために、今、何ができるか?」を発想の起点として、知恵を絞り続けます。そうして誕生したのが「超ひらパー兄さん」キャンペーンであり、趣向を凝らした広告、既存の遊戯機を新鮮に楽しんでいただく企画の数々です。アイデアを次々と展開することで、従来のイメージにとらわれない遊園地として、沿線の皆さまはもとより全国的にも認知されるようになりました。

地域に根ざし、四季を彩り、時代を映して

かつて、遊園地の冬は閑散期と考えるのが定説でした。この常識にも、ひらかたパークは挑みます。開園100周年を迎えた2012年に冬の大規模イルミネーションへの取り組みを開始し、2014年に「光の遊園地」を初開催。これは遊園地の冬の景色を変えた企画となり、以降、ひらかたパークは光の演出がロマンチックな冬の人気スポットとして認知されるようになります。また、冬のスケートをはじめ、春はローズフェスティバル、夏はプール、秋はハロウィンイベントと四季を満喫できるのもひらかたパークの魅力です。さらに、2019年より枚方市をホームタウンとする男子バレーボールチーム「パナソニック パンサーズ」との数々のコラボレーション企画を毎年実施し、地域に根ざした活動にも取り組んでいます。

変わらず守り続ける安全への約束

時代に合わせて変わり続けてきた一方で、変わらず守り続けているものに安全に対する真摯な取り組みがあります。鉄道事業を基幹とする京阪グループとして、安全を守り、安心して遊んでいただくことを第一にするのは、開園以来変わらず守り続けるお客さまとの約束です。遊戯機の保守・点検も遊戯機メーカー任せにせず、鉄道車両をメンテナンスする高い技術を取り入れて行い、お客さまの安全を守っています。続いては、休園日のメンテナンス現場の様子をご紹介します。

休園日はメンテナンスを実施し、安全を徹底

休園日であるこの日はあいにくの雨模様ながら、スピード感とスリルで人気のキッズコースター『ラウディ』が年に一度の定期検査に搬出される日でした。前日の閉園後から準備し、足回りや連結器などを分解し、当日の朝は作業確認のミーティングをして搬出作業へ。ひらかたパークの運営を京阪電車から受託する(株)京阪レジャーサービスの技術スタッフが息の合ったコンビネーションでスムーズに作業にあたっていました。

搬出された『ラウディ』は、この後、京阪電車寝屋川車両基地に運ばれて分解、検査を念入りに実施されます。車輪や車軸、安全装置、車体などすべてを丹念にメンテナンスして2週間後に戻ってきます。
寝屋川車両基地での遊戯機の整備の様子は、以前にも「こころまち つくろう 活動レポート(VOL.19夢を乗せる車両もおまかせください)」で紹介しました。

持てる力を結集して安全管理と向き合う

ひらかたパークの安全管理について、㈱京阪レジャーサービス 遊戯機・施設チームの勝間 一(かつま はじめ)リーダーにお話を伺いました。

京阪レジャーサービスには、何名の技術スタッフがいるのでしょう?

20名で遊戯機を含む園内施設の保守・点検を行なっています。責任者として遊戯機の定期点検を実施する者は「昇降機等検査員」の資格を取得していますし、電気工事など業務に必要な資格を取得した技術者がそろっています。

専門技術が求められる職種ですが、技術や知恵の伝承はどのように行われていますか?

京阪電車の技術部門の協力のもと、鉄道で培われた高い技術力を、ひらかたパークの施設に適用し安全管理体制を敷いています。また、口伝だけでなく確かな技の継承をめざし、動画を取り入れた指導教材やマニュアルの充実などにも取り組んでいます。

保守・点検は裏方で支えることに徹する作業ですが、どんなところにやりがいを感じますか?また、作業をする上で気をつけているのは何ですか?

一つの作業をチームとしてやり切った時にやりがいを感じます。作業と向き合う上で気をつけているのは、スタッフの安全も守るという点です。作業で怪我がないように十分に留意しています。

安全管理を徹底する上でのモットーを教えてください。

パークでの時間を楽しみにされているお客さまの期待を裏切らないために、開園中は遊戯機を休止させないで安全を守ることを念頭に、日々の点検作業に細心の注意を払っています。しかし、残念ながら故障が発生することもあります。その際には一刻も早く再開できるように、スタッフの持てる力を結集して安全管理と向き合っていきたいと考えています。

株式会社京阪レジャーサービス
遊戯機・施設チーム リーダー 勝間 一さん

リアルコミュニケーションの体験価値を提供し続けていきたい

最後に、アフターコロナの時代、ひらかたパークはどのような姿をめざしていくのか。直近の未来像を(株)京阪レジャーサービスの岡本敏治代表取締役社長に伺いました。

コロナ禍によって人との関わり方やエンターテインメントは変容を余儀なくされました。アフターコロナの時代には、求められる遊園地のあり方は変化していくとお考えですか?

普遍的な部分は変わらないと思います。と言いますのも、遊園地にあるものは、実は昔も今も根本的な体験の質はほとんど同じなんですね。もちろん安全性やスリル度などは進化していますが、遊戯機の体感は「高いところから落ちる」「速いスピードで進む」「グルグル回転する」というシンプルな世界。これは、街中にある公園のすべり台やブランコ、シーソーなどの遊具と基本的には変わりません。つまり、人が感じる根源的な楽しさは、きっと昔も今も変わらないんだと思います。年齢や性別に関わらず、誰もが夢中になれる「楽しさ」を、遊びに特化してお届けする場所が遊園地です。エンターテインメントにおいては、昨今はVRなど先進技術もあり多種多様な楽しみが広がっていますが、リアルな体験価値を、リアルなコミュニケーションの中で提供できるのが遊園地の強みです。今後は、その価値がより再認識されていくと考えています。

確かに、コロナによる行動制限によって逆に生身でのコミュニケーションの大切さや、かけがえのなさに気づかされました。リアルな体験への希求は、コロナ前よりも高まった気がします。

そうですね。リアルとバーチャルの対比でいえば、面白いエピソードがあります。ひらかたパークでは夏限定のお化け屋敷イベントを度々開催していて、お化けが潜む暗闇を歩いていくタイプと、ゴーグルをつけてVRで楽しんでいただくタイプをそれぞれ開催したことがあるのですが、どちらからより歓声があがるかと言えば圧倒的に前者なんです。お化けを演じる役者さんが驚かせているのがわかっているのに、隣にいる友人と手を取り合って楽しそうな叫び声をあげる。それがリアルの魅力です。五感を総動員して、その時その場を全身で感じる。家族や友人と同じ空間で、同じ感覚を共有する。ワクワク感や非日常体験が、おもちゃ箱のようにひとところに詰まっている場所が遊園地です。そんなリアルの体験価値と魅力をこれからも大切にして、お届けしていきたいですね。

これからの、ひらかたパークのありたい姿を教えてください。

楽しい体験は、その瞬間に心が躍り、動くだけではなく、思い出となりずっと心に残ります。そうした記憶は日々の心の糧となり、「次も行こうね!」と先の心の支えにもなる。つまり、現在だけでなく過去と未来もつないでいくんですね。ひらかたパークが、沿線の皆さまにとって現在・過去・未来の、いつもそばにある遊園地でいられたら幸せです。過激な遊戯機は少ないですが、幅広い年齢層のどなたにとっても楽しい場所であり続けられるように、幸福なリアルコミュニケーションの体験価値をこれからも変わらずに提供していけたらと思います。

株式会社京阪レジャーサービス
代表取締役社長 岡本敏治さん

2022年10月掲載

第24弾 株式会社京阪レジャーサービス 第24弾 京阪電気鉄道株式会社のポスターを見る

ポスターギャラリー こころまち つくろうポスターギャラリー