一流ブランドホテルとの競合に打ち勝ち
大型案件を受注する。

村井 水貴Murai Mizuki

2018年入社
文学部 人文社会学科卒
THE THOUSAND KYOTO /
京都センチュリーホテル 宿泊営業部 兼 バンケットセールス部

人とのコミュニケーションが好きで、
いろいろな考え方を知りたいのでよく人と話します。
好奇心旺盛なタイプです。半面、一人の時間も大好きで、
最近のストレス発散方法は一人カラオケです。
2時間歌い続けます。

先方から提示された難題。
異動してすぐ担当を任される。

2019年1月に開業した京阪グループのフラッグシップホテル「THE THOUSAND KYOTO」。その宿泊営業部に、本社の営業本部から連絡が入った。「ポルトガルのエージェントがMICE利用で京都のホテルを探している」とのこと。どうやらその有力候補の一つに、「THE THOUSAND KYOTO」が挙がっているらしい。聞けば、100名を超える規模。大型案件だ。部内はにわかに沸き立った。
MICEとは、「Meeting(会議・研修)」「Incentive travel(報奨・研修旅行)」「Convention(国際会議・学術会議)」「Exhibition(展示会)」の4つの頭文字を合わせた造語で、宿泊を伴う大人数のビジネストラベルを指す。宿泊はもちろん、宴会場、レストランと、全館に大きな収益をもたらすため、「THE THOUSAND KYOTO」では開業以来、MICEの受注活動に注力している。
2019年7月、それまでフロントを担当していた村井は、まさにそのMICE営業強化に向けた主力メンバーとして宿泊営業部に異動してきた。その村井に、「このポルトガル案件、頼んだぞ」と部長が声をかけた。これほどの大型案件をまさか入社2年目、それも異動してきてすぐの自分が担当するとは…。村井は驚いたが、仮に失敗したとしても勉強になる、やろう、と心を決めた。

先方から提示された難題。
ホテル側の対応が試される。

旅行代理店の担当者から詳しい話を聞くと、お客さまは「THE THOUSAND KYOTO」ともう一つ、世界的な一流ブランドホテルとの間で迷っているらしい。それを社内に伝えると、周囲からは「あのホテルが相手なら勝ち目はない」と首を振られた。ヨーロッパではブランド意識が高いため、世界レベルのホテルブランドが強い。「京阪」ブランドは国内でこそ知られるが、さすがにポルトガルでは無名の存在だ。ハンデ戦となることはまちがいない。しかし、異動してきて初めての大型案件。これを受け入れることでホテルの経験値も上がる。絶対に受注したい、と村井は熱い想いを胸に営業活動を開始した。
先方から第一条件として挙げられたのが、朝食会場と夕食会場を変えることだった。それも、どちらかは宴会場ではなくレストランにしてほしいとのこと。村井はさっそくレストラン部長に直談判を試みた。「レストラン部門の売上も上がるし、ぜひ受注したいんです!」と熱く語った。

しかし部長の表情は渋かった。無理はない。お客さまのご要望をかなえるには、キャパを考えるとレストランを貸し切りにしなければならず、そうなると他のお客さまのご利用をすべてお断りする必要がある。さすがにそれは厳しい。結局、その日は「考えさせてくれ」ということで保留に終わった。
翌日、レストラン部長の言うことももっともだと考え直した村井は、軽々しく頼んでしまったことを詫びようと部長のところへ足を運んだ。すると、部長の口から思いもよらない言葉が出てきた。「村井さんがあれだけ熱く語ってくれたのに、できないの一点張りではだめだな。熱い気持ちを忘れていた」と、レストラン利用の承諾を得たのだ。まさにサプライズの返事だった。村井は思わず目頭が熱くなった。そして「ありがとうございます、部長。本当にありがとうございます」と何度も繰り返した。

下見滞在のご一行が到着。
「名」ではなく「実」をアピール。

その後もいくつか条件のすり合わせがあった後、いよいよ先方が下見に来られるという連絡を受けた。旅行代理店の担当者、ポルトガルのエージェント担当者、そしてお客さまの代表が、3泊4日の旅程で「THE THOUSAND KYOTO」に宿泊されるとのこと。ホテルのサービスレベルと、営業担当者の提案力が厳しくチェックされる最終選考ともいえる場だ。村井は気を引き締めた。
当日、先方ご一行が到着された。対応したのは、村井と営業担当の2人。打ち合わせの場で村井は、一流ブランドホテルにはない、自分たちのホテルの良さを伝えた。「THE THOUSAND KYOTO」のコンセプトは、訪れるゲスト個々のゆとりや心地よさを提供する「パーソナル・コンフォート・ホテル」。千年の都・京都の知恵や美学をヒントにした、京阪ならではのおもてなしの心の実践だ。ホテルの名前こそ知られていないが、サービスと設備は一流ブランドホテルに引けを取らない。村井は熱い気持ちを抑え、落ち着いて冷静に、そうアピールした。

最終日、お帰りになられるところを村井は声をかけた。滞在そのものはご満足されたようだった。手応えは感じた。しかし結論がどうなるかはまだわからない。
それからまた日が流れたある夕方のこと、村井が退社前に最後のメールチェックをしていると、旅行代理店からメールが入った。例のポルトガルのMICEは「THE THOUSAND KYOTO」にお願いしたいとのことだった。決まった! 村井は思わず胸の内でガッツポーズをした。先方のご要望に応えようと、社内にいろいろと無理をお願いしてきたが、ついにそれが受注というかたちで結実した。村井は、ホテルのみんなで勝ち取った案件だと思うと、さらにうれしさがこみ上げてきた。

ホテルのサービスを通して、
「KEIHAN」のブランド価値を向上させたい。

ポルトガル案件のお客さまが宿泊されるのはまだ先で、今はその準備で細かい詰めの確認を行っている。ここで確認漏れがあると、当日のトラブルやクレームにつながるため、気が抜けない。村井のポジションはある意味、お客さまと現場の板ばさみだ。お客さまのご要望をすべて受け入れると現場に迷惑がかかる。かといって、現場に良い顔ばかりしていては案件は取れない。最近は、自分ができることを精いっぱいやりながら、協力をお願いすべきところは、想いを乗せてしっかりお願いするというバランス感覚が身についた。
そんな村井が、仕事をしていて一番うれしいことがある。「THE THOUSAND KYOTO」を気に入ってくださった海外のお客さまから、「このホテルは、どこの系列なの?」と聞かれることだ。クオリティの高さから、どこか有名な外資系のホテルと思われるのだが、国内の、それも鉄道系のホテルだとお答えすると、とても驚かれる。
こうして村井は、「KEIHAN」と名前の付いていないこのホテルのサービスを通して、逆に「KEIHAN」ブランドを広め、ブランド価値を向上させたいと考えている。そしてさらにその先、ホテル業で十分に経験を積んだ後は、観光をフックに、京阪グループ全体の販売促進やブランディングにかかわる仕事ができたらと夢見ている。
京阪グループの未来をおもしろくする逸材がまた一人、将来に向けてその実力を磨いている。