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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.32]移動の時間を、至福のプライベートタイムに。~京阪電車の次世代サービス、特別車両「プレミアムカー」が登場~

京阪電車は、これまでもテレビカー(車内にカラーテレビを設置)やダブルデッカー(2階建て車両)など、ユニークな発想の車両を時代に先がけて開発してきました。このたび、あらたに座席指定の有料特別車両「プレミアムカー」が誕生。古都・京都と水都・大阪という豊かな文化と風土が息づく両都市を優雅に結びます。京阪電車の技術とこだわりが注がれた“プレミアム”の名にふさわしい特別感あふれる車両の全貌をレポートでお届けします。

それは社内横断プロジェクトとして
始まった。

進取の気質に富み、多くのサービスや車両で世界初、日本初、関西初の称号をもつ京阪電車。次世代に向けて、もっとお客さまに満足していただける商品やサービスはないか?を模索するために、鉄道部門以外からも幅広くメンバーをそろえた専門委員会を立ち上げました。プレミアムカーのアイデアはここで検討され、プロジェクトはスタートしたのです。

京橋駅で定点観測し続けて発見したことは…。

委員会発足後、京橋駅のホームに立ち、お客さまを眺め続けているメンバーがいました。京阪線で乗り降りされるお客さまの数が一番多い京橋駅を定点観測することで、何かヒントを探り出そうという想いからでした。そして、ここで得られた“気づき”がプレミアムカー発案のきっかけになります。

プレミアムカー発案者が日参して取ったメモ

座席指定車両が
必要とされているのではないか。

京橋駅は通勤・通学のお客さまに加えて、京都への観光にご利用される方が多い駅です。そこで目にしたのは、行楽のグループが、ホームでは集団で楽しそうなのに電車に乗る際には、分散して乗車されている姿でした。せっかくの楽しい旅行気分が、電車内では途切れてしまう…そんな現状を身にしみて感じたのです。そして、これを解決するためには、シートを確保できる座席指定車両が必要だと感じ、プレミアムカーの発想につながりました。

京阪電車ならではの
座席指定車両を追求。

近年は、他社でもさまざまな有料座席指定車両が運行しており、単に有料で座席指定ができるだけではお客さまへの革新的なサービスにはなりません。車両のクオリティとサービスでご評価をいただくことができる、京阪電車ならではの格別な車両を実現しよう!という目標で意見が一致。ついに「特別なこだわりを体現した有料特急の創出」をテーマに、2015年5月、プレミアムカーの開発が正式にスタートしました。

異例づくしのプレミアムカーづくりが始動、
そして見事に完成を迎える。

新サービスは「エレガント・サルーン」の愛称をもつ8000系車両に連結し、デザインは特別車両にふさわしい格調高さと洗練された美しさを追求することに決定。極秘だったプロジェクトは全社に発表され、企画部門、技術部門、営業部門が一丸となって特別車両づくりは進行します。そして、2年3ヶ月の歳月を経た2017年8月、ついにプレミアムカーが誕生しました。

外観は豪華でシックなデザインを追求、
専用エンブレムで上質感を添える。

プレミアムカーは8000系のカラーイメージをそのままに、京阪電車では初となる1扉車へと改造。扉周りには存在感を際立たせる金色を配しました。外観や内装にあしらわれた金色に輝く専用エンブレムは、京阪特急のシンボルである鳩マークとグレード感を表す三つ星を組み合わせて上質感を添えています。座席数は40席に抑え、ゆとりのある贅沢なプライベート空間を創り出しています。

内装は快適性とパーソナル空間を大切に。

デザインコンセプトは、3000系導入の際に採り入れた「風流の今様」を継承。窓ガラスやカーペット、座席シートや内装壁などにモダンでありながら風雅で落ち着いた日本美を創出しています。照明も出入り口はダウンライトでありながら客室は連続照明にするなど、ゾーンによって使い分け、高級感あるくつろぎの空間を演出。とりわけ心血を注いだのが、お客さまが直接くつろがれる座席です。2+1の3列とゆとりを持った配置にするとともに、前後のシート間隔を従来よりも100mm拡大。足元空間にも余裕をもたせました。また京阪電車では初となるリクライニングシートを採用。大きめのヘッドレストや肘掛なども装備し、プライベートな時間をゆったり心地よく過ごしていただける、まさにプレミアムなオリジナルシートを実現しました。

■客室と乗降部を隔てるエントランス

■大型のヘッドレストを備えたプレミアムシート

■便利な大型テーブル

■全シートに装備されるコンセント

■ナノイー発生装置

※「ナノイー」及び「nanoe」マークは、パナソニック株式会社の商標です。

■大きな荷物にも対応可能なラゲッジスペース

安全と安心のための厳しい制約の中で、
美と快適を追求して誕生したプレミアムカー。

プレミアムカーが完成するまでの製造秘話を車両部 技術課 屋敷係長に伺いました。

プレミアムカーがいよいよ始動します。有料指定席サービス自体は東西の私鉄で相次いで導入されていますが、その中にあって独自の強みはどこにあるでしょう?

「通常の8000系車両は1車両58席なのですが、プレミアムカーは40席。余裕ある空間で、ゆったりとくつろいでいただけます。ご乗車いただき、まずはその広さを実感していただきたいですね。座席の座り心地にもとことんこだわり、お客さまに最良のリラックスを提供できる仕様に仕上がっていると自負しています」

実際にプランを形にしていく車両部としてご苦労された点はどこでしたか?

「今回は専門委員会のメンバーが作り上げたプレミアムカーの理想を、車両部としてどれだけ具現化できるか?その挑戦の日々でした。次々と出される不可能と思われる課題を可能にするために、これまでにないチャレンジを数多く積み重ねました」

具体的には、どういった部分でしょうか?

「一例でいえば、今回のデザインは随所にガラスを効果的に使っているんですね。ところが車内にガラスをはめ込むためには、安全性の観点から天井部の骨組みから構造強化しなくてはなりません。そこで天井部を引き剥がし、電気系統まですべて組み直してガラスを安全に固定させました。 “ガラスの透明感ある美しさを車両に”というオーダーの陰に、安全性確保のための見えない工夫をぎっしりと張り巡らせました」

デザインを形にしていく際に苦心されたと。

「鉄道は外装・内装ともに使用素材にも厳しい規格が定められているんです。カーペットやカーテン、椅子の表地などは難燃性のものを使用しないといけない、天井部材は不燃性でかつ溶融滴下性を考慮したものでなくてはならないなど、非常に細かい規格があります。そうした安全と安心のための徹底した制約の中で、より高い快適性とデザイン性を徹底して追求したのが今回のプレミアムカーです」

車両部 技術課 屋敷係長

そんな技と工夫と情熱を注ぎ込んだプレミアムカー、お客さまに感じていただきたいのはどんなことでしょう?

「照明ひとつとっても“特別感”を盛り込んでいます。間接照明と直接照明をミックスした反射式照明を採用しているのですが、天井や荷棚は直接光が当たり明るく、一方客室は灯具の間接光が広がり落ち着いた雰囲気を作り出しています。通常の8000系車両も抜群の乗り心地や静かでスムーズな運行でご好評をいただいていますが、プレミアムカーはさらにワンランク上の居心地の良さを感じていただける車両になっています。ぜひご乗車いただいて、それを感じていただけたらうれしいです」

専属アテンダントがおもてなしする上質な空間で
ゆったり、くつろぎながら移動を。

今回のプレミアムカーには、京阪電車では初となる専属アテンダントが乗務します。アテンダント研修の真っ最中にお邪魔して、アテンダントサービスの意義やプレミアムカーが今後担う役割と展望について、営業推進部 運転課の野上係長にお話を伺いました。

専属アテンダントはどんなサービスに就かれるのでしょう?

「快適な空間創りが主な業務です。具体的にはお客さまのお出迎え、お見送りから空調の設定、ご乗車いただいたお客さまのお問い合わせへのきめ細やかな対応などがメインです。年齢や性別を問わず35名を採用。お客さまのさまざまなニーズにお応えできる体制を敷いています」

京阪電車では初の試みとなりますが、人材育成はどうされましたか?

「ANAビジネスソリューション様のご協力を得て、“京阪スピリット”を大切に一緒に取り組んでいただいております。私たちは鉄道会社として、電車の運行や駅において安全を確保するノウハウに長けていても、お客さまに上質なおもてなしを提供することに関してはまだまだ成長過程です。そこで、キャビンアテンダントの教育をはじめ、特別な空間創りを長年やってこられたANAグループのノウハウを借りることにしました。ANAグループにとっても鉄道会社とこのような形でタッグを組むのは初めてとのことですので、お互いにとって視野を広げるきっかけとなりました」

アテンダントの方の研修内容は?

「まず一ヶ月間は座学として、ANAビジネスソリューション様では接遇を、当社では列車運行に関する基礎知識を徹底的に教育しました。その後、実際にプレミアムカーに乗車しての実車研修を実施。実際のお客さま対応を想定した訓練を重ねています」

アテンダントサービス導入への社内の期待感はいかがですか?

「時代とともに、お客さまが鉄道会社に求められるサービスは確実に変化していると感じます。かつての鉄道は、お客さまを安全・確実に目的地にお連れすることを第一として、その使命を果たしていました。また、近年ではその移動の時間を個人のひと時として楽しまれる方が多く見られるようになりました。そして、今はもっとそこに、人の温かさやつながりも求められている気がします。温かみのある、さりげないサービスといいますか…。その役割を担うのがアテンダントの存在です。また、アテンダントの登場がいい刺激になって、乗務員はじめ、社員の意識向上にも波及しています。プレミアムカーが誕生することで社内の空気全体に、お客さまのご期待を裏切らないよう従前のサービスも、より上質なものに!という機運が高まっています」

営業推進部 運転課 野上係長

素晴らしいですね。最後に、プレミアムカーの展望をお聞かせください。

「これまでのどの車両も超える、さらなる高みをめざしたデザイン性と快適性を誇るプレミアムカーは、専属アテンダントの乗務も含めて京阪電車の次の100年を牽引するサービスだと位置付けています。移動手段がメインであった鉄道が、乗ること自体が喜びとなるような、エンターテインメントの領域にステップアップすることを体現した特別車両です。価格的にも身近にご利用いただける設定としておりますので、沿線の方をはじめ、より多くのお客さまに抜群の乗り心地とアテンダントの細やかなサービスを体感していただきたいですね。個人の時間、空間を大切にしつつも、人の温かみを感じられるこのプレミアムサービスは、これからの時代において、より一層沿線価値向上に貢献できると期待しています。もちろん、まだ産まれたてのサービスですし、これからお客さまと一緒に大切に育てていければいいですね」

「プレミアムカー券」はWEBまたは駅でご購入いただくことができます

2017年8月掲載

第12弾 プレミアムカーのポスター 第12弾 プレミアムカーのポスターを見る

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