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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.06]小さな苗木の、大きなチカラ。 ~京都東山・鹿ヶ谷地区植樹プロジェクト~

京都市の中心街から至近距離にある東山の自然。
野生動物がたくさん生息するそのみずみずしい緑の森は、市民だけでなく大勢の観光客を出迎えてくれています。しかし今、その森は「ナラ枯れ」という深刻な病にさらされていました。「東山は私たちの大切な資産。何とか守ることはできないだろうか。」そんな思いから、京都市と連携した植樹プロジェクトがスタート。
活動を推進した経営統括室事業開発担当の小島さんに、お話をうかがいました。

京阪グループの社員たち植樹活動をする前に説明を受ける京阪グループの社員たち。初めての作業にやや緊張ぎみ。 高田さん(左)と永野さん(右)丁寧に説明してくださった高田さん(左)と永野さん(右)。

4月に実現した京阪グループ社員による植樹活動、いかがでしたか?

小島さん:「環境保全」や「社会貢献」と言ってしまえば、少しお堅いイメージになってしまいますが、社員一人ひとりが直接苗木を植えるという機会をいただけて、企業としても、個人としても学べたことがたくさんあったと思います。でも率直な感想を申しますと、思っていた以上にしんどかったです。もっと楽な作業をイメージしていたのですが…。緑を失ってしまった森林を再生させていくことは、大変な道のりであることを肌で感じましたね。 当日同席していただいた京都市産業観光局林業振興課の永野さん、NPO法人森林再生支援センター常務理事の高田さんにはとてもお世話になりました。植樹の知識を持たない素人の私たちに、ナラ枯れ被害の現状や苗木の植え方を丁寧に教えてくださって。個人的には、私たち社員が東山の森に肌で触れて、汗をかいて活動できたことが、京阪グループにとっては大きな成果だったのではないかと思っています。実は京都市さんも民間企業と連携して実際に植樹イベントを行うのは初めてだったそうです。もちろん私たちも初めての経験ですから、運営面でわからないことが多く、当日まで京都市さんと打ち合わせを重ねることになりました。

客土の入った土嚢を運ぶ植樹の前にバケツリレー方式で客土の入った土嚢を運ぶ。かなりの力仕事に汗が噴き出ます。

みなさん、どんな気持ちで植樹に取り組んだのでしょう?

小島さん:植樹にあたった社員の皆さんは「植樹ってこれほど大変な作業なの」と思われたと思います。花壇で株の植え替えをするのとは労力が違います。まず、植樹場所が平坦でないということです。結構急な斜面もありました。しかもそこまで苗木と、苗木にかぶせる客土(きゃくど…植樹用の新しい土)を入れた土嚢(どのう)や片手鍬などの道具を運び上げなければなりません。それをバケツリレー方式で行うのですが、その作業だけで皆はバテてしまいました。土を掘るのも大変でした。斜面で足場が悪いうえに、固く締まった土をしっかり掘らなければなりません。また、どの場所にどの苗木を植えるかということも決まっています。高田さんによると、地形や日照など、その場所その場所で最も成長しやすい樹種を植えなければならないからだそうです。こうした植樹活動の大変さは、実際にやってみて初めて分かったこと。しかし、大変で手間のかかる作業なだけに「1本1本にしっかり育ってほしい」と気持ちがこもりました。「何や!こんなしんどいと思わんかった!」との声も聞かれましたが、皆さん同じ気持ちだったのではないでしょうか。汗をぬぐって丁寧に苗木を植えてくれる社員の姿に感じ入りました。

1本1本、優しく確実に「1本1本、優しく確実に」とうながす高田さん。繊細な配慮が必要だと教えていただきました。 ナラ枯れした木々ナラ枯れした木々を見つめる永野さん

高田さん、永野さんのお話で特に心に残ったことは?

小島さん:永野さんは、東山の森をまるでわが子を可愛がるかのように話してくださいました。すでに枯れてしまった幹を触りながら「何とかしなければいけないんです」と口にされた姿が印象的でした。高田さんからは普段の仕事にもつながる一言をいただきました。「苗木は丁寧に植えることが最も大切。量ではなく1本の植樹の『質』が結果を左右する。これはサービス業においても同じなのでは?」まさしくその通りだと思いました。高田さんの話を聞いて「心をこめて植えれば、苗木は必ず育ってくれる。うまく定着して大きく育ってほしい。そしていつか京都の山々を彩る木々になってほしい」と、植樹をしながらそんなことを考えていました。

植樹を行う社員たち丁寧に植樹を行う社員たち。ちゃんと育ってほしいと願いながら、一本ずつ丁寧に植えていきます。

京阪電車の沿線緑化プロジェクト、今後も広がっていきそうですか?

小島さん:個人的には、まだまだ緒についたばかりだと思います。もともとこのプロジェクトは、京阪バス全エリアで「PiTaPa」の利用が可能になったことを記念した「鉄道・バス乗り継ぎエコキャンペーン」が発端でした。「お客様が京阪電車・バスを乗り継ぎ利用されるごとに京阪電車と京阪バスが10円を積み立て、京都市周辺の森林再生に還元する」というこの企画は、京都市さんの取り組みとうまく合致したことで実現にいたりました。もちろん、ナラ枯れ被害が出ているのは東山地区だけではありませんが、京阪グループは特に東山地区に多くの観光地を抱えており、その意味で貴重な観光資源である東山地区の森林再生に重点を置いて活動していきたいと考えています。

京都市と京阪グループの一同植樹終了後に全員で。京都市と京阪グループの共同作業に一体感が生まれる。 小島 喜一朗さん京阪電気鉄道株式会社
経営統括室事業開発担当課長 小島 喜一朗さん

ありがとうございました。最後に、小島さん自身の「思い」を改めてどうぞ。

小島さん:京阪グループの皆さん、忙しい仕事の合間をぬってご参加いただき本当にありがとうございました。また高田さん、京都市の皆さん、森林整備隊の皆さん、準備から指導までお世話になりました。京阪グループは、地域に根ざして事業活動を行っています。当然、会社の姿勢として自然環境保全活動も行っていますが、今回の取り組みはその一環です。ナラ枯れ被害により失われていく森林面積は膨大なのに私たちのできることは限られています。と言って行動をしなければ失われていくだけです。これまで個々に行われていた小さな活動が、現在結びつき始めて、京都市さんを中心に大きな活動になろうとしています。私たちもその大きな活動に微力ながら協力していきたい。そして、10年後も30年後もその先も、ずっと美しい景色と共にある京阪グループでありたい。今回の植樹活動をその一歩にできればと思います。