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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.03]リラックスのための、贅沢仕様。~8000系車両と3000系車両の快適性~

京阪の顔ともいえる特急車両の8000系。
そして2008年の中之島線開通とともに導入された3000系。どちらも「快適な空間」がお客さまから好評を頂いております。その秘密について、京阪電鉄車両部技術課長の深尾雅章さんにお話をお聞きしました。

8000系のロングシート

8000系
「日本一豪華なロングシート」をめざして。

特急車両の8000系についてお聞きします。一番の特長は何ですか。

座り心地の良いシートです。8000系の快適性を象徴する設備ですね。とくに数年前の8000系リニューアルに際し、ロングシートを新しく設置したときは、かなりこだわりました。

ロングシートを設置した経緯から聞かせてください。

8000系はかつて、長い区間ご乗車されるお客さまがほとんどでしたので、クロスシート(2人掛けシート)をご利用いただくことで、ご好評をいただいてきました。
しかし、特急の停車駅が増えた現在では、クロスシートしか備えていない車両では、すべてのお客さまにご満足いただけないのではないかと考えたのです。
たとえばクロスシートだけの車両で窓側の座席がひとつ空いていたとしても、同じシートの隣(通路側座席)にお客さまが座っていれば、わざわざ座りに行くことをためらってしまうでしょう。短い区間でご利用いただくお客さまや、女性のお客さまであればなおさらです。そこで、利用するシチュエーションに合わせて、お客さま自身が利用されるシートを選択できるよう、8000系の車端部にロングシートを設置することを決めました。

他の車両のロングシートとは異なり、ずいぶん豪華なシートだそうですね。

京阪特急は、8000系車両を中心に運用されますから、8000系はいわば京阪の顔とも言える車両ですよね。その8000系に一般的な仕様のロングシートを設置すれば、サービスの質やグレードを落としてしまうことになりかねません。そこで生まれたのが「日本一豪華なロングシートをつくる」というコンセプトです。いくつかアイデアが出ましたが、最終的に背もたれが頭部を包み込むように支え、リラックスした体勢を長時間キープできる“ハイバック”のロングシートを導入することに決まりました。

開発時にこだわったポイントは。

やはり「快適性の追求」です。設計段階からミリレベルの検討を重ねました。シートの弾力性、触り心地も厳しいチェックを行いましたね。試作品があがってきたときも、絶対に妥協したくなかったので何度もやり直しをさせました。 こうした努力の甲斐もあり、当初のコンセプトである「日本一豪華なロングシート」の名に恥じないクオリティのシートが完成したと思います。8000系に乗車された際は、ぜひ座って頂きたいですね。

他にリニューアルで改良されたところはありますか?

特急の停車駅が増加して立ったままご乗車されるお客さまが増えたこともあり、安全性を向上させるためつり革を設置しました。
これはお客さまセンターにお寄せ頂いたご要望にお応えしたものです。

3000系のシングルシート

3000系
新しい京阪のイメージを具現化した最先端車両。

つづいては2008年に新しく導入された3000系についてお話を聞かせてください。

座席配置での特長は2列+1列のクロスシートです。私たちは男性中心で設計していることもあり、女性の意見を聞く機会がほとんどありません。このため3000系車両の設計の際に、女性のお客さまを中心にしたアンケート調査を実施しました。その結果、1人で気兼ねなく座れる1人掛けのシートを望まれるご意見がとても多かったのです。

3000系の車内

男性だけの目線からは生まれてこないご意見かもしれません。

そうかも知れません。こういったご意見も踏まえ、私たちは1人掛けシートの設置を決めました。最終的には、長時間ご乗車される方がゆったり座れる1人掛けと2人掛けの2種類のクロスシート、短い区間でも乗り降りがしやすいロングシート、この3種類のシートをバランスよく配分しました。

車両のデザインも好評です。

デザインコンセプトは「風流の今様」です。少し難しい言葉ですが、京阪沿線をイメージさせる“文化・風情”と、新しく変わりゆく京阪の“現代的感覚”を融合させたものといえばイメージしやすいでしょうか。 実は3000系は今までにない画期的なデザインにしたかったこともあり、初めて社外のデザイナーに車両デザインを依頼しました。お客さまからは乗り心地や機能性とともにデザインに対してもご好評を頂いておりますので、この試みは成功だったと思いますね。

機能性という言葉が出ましたが、3000系の設備でこだわったポイントは?

ご高齢の方や、お体の不自由な方への配慮です。例えば、ドアの上部に「扉開閉予告灯」を設置しました。これはライトを点滅させることで、扉の開閉のタイミングを事前にお知らせするものです。耳のご不自由な方はもちろん、健常者にもわかりやすいものですから、今後、他の車両にも設置していきたいと考えています。

最後にメッセージをどうぞ。

「車両」という京阪電車の大切な商品を担当する部署の一員として、これからも技術力を磨いていきたいと思います。また、そうすることで、安全な車両であるのはもちろんのこと、一人でも多くのお客さまにご満足していただける車両を提供していきたいと考えていますので、ご期待いただければと思います