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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.29]お忘れ物にも発揮する京阪スピリッツ。~忘れた!落とした?ときの最後の砦・お忘れ物センター~

京阪電車の京阪線では、皆さまに“安全安心”をご提供する取り組みの一環として、お客さまのお忘れ物に対してもできるだけ早く、確実にお返しできるよう、最善の体制を敷いています。駅や電車で大切な持ち物を「忘れた」「落とした」という場合、最後の砦として重要な役割を果たすのが「お忘れ物センター」。日頃はお目にかけることのない“お忘れ物を巡る舞台裏”を今回はご紹介します。

当日のお忘れ物、落とし物は終端駅かお届けの駅で保管

通常、その日に拾得されたお忘れ物は、ご利用になられた電車の終端駅か、お届けのあった駅でお預かりしています。お預かりした後、駅員はすみやかにお忘れ物の情報(拾得日時・品名・特徴的な内容)を専用システムに入力し、データ化します。データ化された情報は「お忘れ物切符」として出力され、お忘れ物に添えられます。これで、お忘れ物をお返しするための準備は完了。このシステムには全駅からアクセスができるため、どの駅にお問い合わせをいただいても確認ができ、スピーディな発見に役立っています。

翌日には「お忘れ物センター」へ
全駅分の拾得物が集結

当日にお問い合わせのなかったお忘れ物は、各駅で最終電車の時間まで保管され、翌日の午前中に順次、京橋駅片町口改札口にある「お忘れ物センター」へ送られます。これらのお忘れ物がすべてセンターに集約されるのは、拾得の翌日のお昼12時頃。センターでお返しできる時間を「翌日の12時以降」とさせていただいているのは、こうした流れが背景にあるのです。こちらで約3日間保管。残念ながらその間にお問い合わせのなかった場合は、警察へ移管されることになります。

ぞくぞくと集まるお忘れ物をてきぱきと分類・整理していく

センターへと運ばれるお忘れ物は、専用袋に入れられて大切に運ばれてきます。雨の日の翌日は傘のお忘れ物だけでもひと駅で200本以上になることもあり、また、連休明けにはレジャーにお出かけのお客さまのお忘れ物などが増えるため、多い時には一度に届く専用袋が5袋も6袋にもなることも。お忘れ物を入れた専用袋は、10数分ごとに電車で運ばれてくるため、その都度ホームまで受け取りに行き、戻るとすぐに登録データとの照合・確認作業を行います。その間にも、お問い合わせの電話やセンターを訪ねてこられたお客さまへの対応がひっきりなしにあって、目がまわるほどの忙しさです。

見逃しを回避し、発見率を上げるために。
工夫と知恵が活きる整理作業

センターでは、お客さまの大切なお忘れ物をできるだけスムーズに、また多くお返しできるよう、工夫を凝らしています。まず各駅から届いた段階では混在しているお忘れ物を、貴金属やメガネ、現金、マフラー、手袋、携帯電話などと細かくアイテム別に分類整理。探し出しやすくして保管します。さらに、駅で入力された「お忘れ物切符」の情報に詳細な特徴を加筆。そうすることで、より特定しやすいよう情報精度を上げています。例えば「黒の女性用手袋」だけでは似たようなものと判別がつきにくいものです。そこで一品一品入念にチェックし直し、「女性用黒手袋、バックスキン素材、手首まわりにシルバーグレーのラビットファー飾りつき、Sサイズ」といった詳細な特徴をプラス。情報を補強することで、お客さまから「黒の手袋を落としたんですけど…」とお問い合わせがあった際にも照合が綿密になり、お客さまにお返しできる確率の向上につながっています。

お忘れ物TOP3は?ときに驚くようなお忘れ物まで。

ところで、京阪線全体でどれくらいのお忘れ物があるかといえば、2015年で1年間に約12万件ありました。お忘れ物の多さでいえば傘、手袋、マフラーがTOP3で、これは例年ほぼ不動です。とくに傘は、雨の日の翌日などセンターの保管棚をまるごと占領するほどの数にもなります。他にも多種多様なお忘れ物があり、ワニの剥製やヴァイオリン、夏には生きたままのクワガタのつがいといったものまで…。時にケーキやお寿司など生もののお忘れ物もありますが、生鮮品は各駅で廃棄処分にすることが原則です。ただし、お弁当のお忘れ物の場合は駅で中身を廃棄した後、お弁当箱だけがセンターに送られてくるので、きれいに洗って保管しています。

お預りするのはお客さまの大切なお忘れ物。
迅速・無事にお返しすることで「安心」を感じていただきたい。

お忘れ物センター担当 松本助役

最後に、お忘れ物センター担当の松本助役にお話を伺いました。

皆さん、息つく暇もないお忙しさですね。

「約4名で担当していますが、午前中は送られてくる大量のお忘れ物の整理があり、午後からは保管のための仕分けや『お忘れ物切符』へのデータ加筆・訂正などの作業に追われますね。その間にお客さまからの電話でのお問い合わせ、センターを訪ねてこられるお客さまもひっきりなしにありますので、毎日あわただしく時間が過ぎていきます」

女性社員も含め、センターの方々の働きぶりがテキパキと見事です。

「このセンターは“女子力”に支えられているんですよ。と言いますのも、お忘れ物にはファッション小物も多くて、私たち男性社員では想像もつかないアイテムが数多くあります。以前、腹巻かな?と思ったものがスヌードというストールの一種だと教えられて驚きました(笑)。彼女たちのおかげで流行アイテムにも戸惑わず、正確な分類が可能になっています。また、お忘れものを見極めるために、お客さまに逆にこちらから細かくお尋ねする場合もあるのですが、そんな時も物腰が柔らかな女性スタッフの存在は頼りになりますね。」

お客さまとのやりとりで印象的なものはありましたか?

「北浜駅で落とされた上着を引き取りに来られたお客さまで、お返しした瞬間に泣いて喜ばれた方がおられました。その上着は、お母さまの形見だったそうです。他にも、お孫さんからの初プレゼントだった手袋を紛失したと落ち込んでおられたおばあちゃんも、その手袋が見つかったことを心から喜んでおられました。このような場面に立ち会えると、こちらまでうれしくなりますね」

お忘れ物のなかには、想いがいっぱい詰まったものが混ざっているということですね。

「はい。そんな瞬間に立ち会うたびに、『我々はお客さまからかけがえのないものをお預かりしているんだ』と身の引き締まる想いがします。ここの保管期間を過ぎてしまうと、あとは警察署に移管されてしまいます。そうなると引き取りに行くのも、お手続きも大変です。警察の窓口は、土日や祝日、年末年始はお休みですし、所轄の東警察署まで足を運んでいただかなくてはなりません。それだけに、我々お忘れ物センターは、お客さまの大切なお忘れ物を預かる、いわば“最後の砦”だと自戒して、『大切なお忘れ物、できる限りお客さまのお手もとまでお返ししよう!』という強い気持ちで業務に当たっています。その想いがあるからこそ、入念な特定作業やお問い合わせでのヒアリングにもベストを尽くしています」

お客さまに何かお願いしたいことはあるでしょうか。

「もし、駅や電車をご利用になられた際にお忘れ物や落とし物をした場合は、諦めずにまず駅にご一報いただけたら…ということでしょうか。お忘れ物って病気と同じようなところがあるんですね。早期に発見し、治療すれば早期回復につながるように、はやく気づいて、はやくお問い合わせいただければ、お返しできる可能性が高まります。残念ながら現在、お忘れ物センターに運ばれたお忘れ物のうち、お客さまにお返しできたのは約26%にすぎません。でも、駅では、拾得物の半分近くはご返却できているんです。お客さまにとっても最寄りの駅なら手近で便利です。ですので、どこまでご期待に添えるかはわかりませんが、『忘れた!落とした!』という場合は、京阪電車のどの駅でも結構ですので、諦めずにまず駅員にご相談いただけたらと思います」