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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.25]万が一を想定して備えを怠らない。〜第16回総合事故復旧訓練の一日をレポート〜

京阪電車では、安全管理体制の強化を目的として、一年を通じてさまざまな訓練・教育を実施しています。そのなかでも毎年秋に行われる「総合事故復旧訓練」は、近畿運輸局、消防署、警察署と合同で行う大規模なものです。その「総合事故復旧訓練」を、昨年11月11日に寝屋川車両基地において行いました。総勢216名が参加した訓練の模様をレポートします。

万が一の大事故を見すえた
訓練の必要性

鉄道営業部や工務部、電気部、車両部など、各部署では日頃から定期的に訓練を実施し、安全運行の徹底に万全を期しています。しかし、いくら事故ゼロをめざして最善を尽くしても、天災をはじめとして予測できない事故が起きる可能性があります。そして万が一、出火や人命に関わるなど大規模な鉄道事故が発生した場合には、地域の消防や警察の方々と協力して迅速に対応することが求められます。このようなアクシデントに備えるのが「総合事故復旧訓練」なのです。

きっかけとなったのは2003年の踏切事故

「総合事故復旧訓練」がこれほどの規模で行われるようになったきっかけは、2003年8月に京阪線で発生した踏切事故です。この踏切事故は、遮断かんが降りている踏切内に自動車が誤って侵入、特急列車と衝突するという非常に深刻なもので、救急車や消防車、パトカーが出動し救急隊員と連携して対応しました。以前からも総合的な訓練は行っていましたが、この事故を受け、関係先との連携の重要性を再認識し、地域の消防、警察、そして近畿運輸局との合同訓練を淀車庫と寝屋川車両基地で毎年交互に行うようになったのです。各機関が緊密に連携して訓練することにより、それぞれの緊急時の対応能力の向上と相互の連携強化を図っています。

訓練は3ヶ月前から準備
総勢216名が寝屋川車両基地に集結

「総合事故復旧訓練」の準備はおよそ3ヶ月前から進められ、社内外の関係先との調整を経て、この日を迎えました。訓練は寝屋川車両基地内の線路を舞台にして行います。近畿運輸局から8名、寝屋川消防署からは30名と救急車、消防車含めて車両7台、寝屋川警察署から7名とパトカー2台が参加し、京阪電車からの参加者を合わせた総勢216名が、安全への想いをひとつにして訓練をスタートさせました。

いよいよ訓練がスタート

この日想定したのは、北田井踏切道(寝屋川市~香里園駅間)を列車が通過する直前、自動車が完全に降りている遮断かんを突破して踏切内に侵入し、列車に衝突するというもの。列車は衝突の弾みで先頭車が脱線、お客さま数名には打撲や割れた窓ガラスでの負傷といった被害が出ており、運転士も負傷。自動車は大破するとともに火災が発生し、ドライバーは車内に取り残されています。また、事故の衝撃によって約180mにわたり鉄道施設(線路、電気施設)も損傷するという過酷な想定です。

事故発生の通報でたちまち緊迫した空気に包まれて

事故発生後ただちに対策本部、事故復旧本部が設置され、運転指令所から全駅、他の列車の全乗務員、工務部、電気部、車両部などへ事故発生の緊急通報を行います。近畿運輸局、寝屋川消防署、寝屋川警察署にも連絡します。何より優先すべきは人命救助。ですから消防・警察と連携して負傷者の救出および避難誘導を真っ先に行います。救急車、消防車、パトカーが続々と到着し、一刻を争う事故現場で、どれだけ確実に、効率的に救助・救出活動ができるかをリアルな設定のなかで綿密に訓練します。

お客さまの救出が完了したら
損傷箇所の早期復旧をめざす訓練へ

人命救助を無事に完了した後は、近畿運輸局への確認と警察の現場検証を経て、鉄道施設の復旧、列車の脱線復旧にすみやかに移行します。車両部は最新の油圧ジャッキを使って脱線車両をレール上に戻します。日頃使用しない機器も、こうした訓練で使用することで全員の知識と技術を高めます。電気部は切れた架線と踏切設備を復旧させ、工務部は事故の衝撃で激しく損傷したまくら木を交換した後、軌道の調整を行います。やがて復旧作業はすべて終了。運転再開が可能であることを確認し合えたら、送電して営業列車の運転再開へ。すべてが滞ることなく実行され、最後に対策本部と現場の事故復旧本部の解散を宣言して長い訓練の一日は終了しました。

安心できる運行こそミッション。
安全の管理体制を全社一丸となって徹底する

最後に、今回の「総合事故復旧訓練」のまとめ役となった安全推進部の近藤さんと西川さんに今日一日を振り返っていただきました。

●安全推進部 西川さん(左)と近藤さん(右)

近藤さん、西川さんは安全推進部ということですが日頃の業務内容を教えてください。

近藤:「安全推進部はまさしく名称の通り、京阪電車の安全・安心を管理、教育し、推し進めていく部署です。全員が鉄道部門出身者で構成されており、各部署で安全に関する管理体制が整っているか日頃から監査などを通じて厳しく目を光らせます。安全のお目付役のようなものです」

そんな安全・安心のプロの近藤さん、西川さんが京阪電車の一員として心がけているモットーをお聞かせください

近藤:「私は乗務員の出身で、入社以来、安全・安心は一番のテーマとして心身に叩き込まれています。お客さまを安全に、安心していただいて、快適・正確に目的地にお運びすることこそ我々のミッションです。そのことを常に心に留め、日々の業務である監査や教育を通して、全社一丸となって安全確保を徹底するよう力を尽くしています」

西川:「乗車中に楽しくお友だちと語らえたり、つい眠ってしまうような電車は安心の裏返しではないでしょうか。ですから私は、『安心して居眠りしていただける電車でありつづけること』をモットーにしています。そのために、一切不安のない鉄道サービスを提供できるよう、安全推進部が中心となって取り組んでいます。同時に社員の安全と安心も守れるように、教育面でのサポートなどにも取り組んでいます」

2016年1月掲載

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