こころまち つくろう KEIHAN 京阪ホールディングス

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こころまち つくろう 活動レポート

[こころまちつくろう 活動レポート Vol.15]卓越した技術者がその手で守る安定運行。

いつもの電車が変わりなく駅に入ってきて、滞りなく定刻に発車することは、お客さまとの大切な約束です。加えて、決して忘れてはならないのがお客さまの安全。京阪電車では、すべてのサービスの礎に「安全」の確保とそれがもたらす「安心」の提供を据え、日々怠ることなく安全運行のためのさまざまな取り組みを進めています。定期的に行う保守・点検作業もそのひとつ。そうした作業は終電後から始発までの真夜中に行われることが多いため、一般には知られていません。そこで、この「こころまち つくろう活動レポート」にて、京阪電車ならではの「安全・安心」への取り組みをシリーズでご紹介します。

電車は電気を動力として走る交通機関。
だから電気のプロフェッショナルがいる。

電車とは、その名の通り電気が動力。電車を動かすために必要な電気は、電車線から車両の屋根に取り付けられたパンタグラフを通じてモーターに供給されます。1500Vもの直流が流れる電車線は銅でできていますが、常にパンタグラフと接触しているために時間の経過とともに摩耗・劣化が生じてしまいます。そこで、古い銅線を新しい銅線に張り替える工事を定期的に行い、故障などのトラブルを未然に防いで電気の安定供給に努めています。そうした電気関連の保守・点検を請け負うのが電気のプロフェッショナル・電気部の技術者です。その腕が作業の精度や確実性、スピードを左右するだけに、京阪電車には精鋭部隊がそろっています。今回は、時折小雨の降る夜間に枚方公園駅近くの蝶矢(ちょうや)踏切道から三和(さんわ)踏切道の下り線300mに渡って実施された『電車線張り替え工事』に密着しました。

最終電車を見送った後、
深夜1時20分『電車線張り替え工事』スタート。

工事に入る前、寝屋川軌道基地のミーティングルームに集合して作業確認が始まりました。時間は23時。当夜の工程を全員で細かく確認し、「視界の悪い夜間作業につき、怪我や事故がないように」との注意喚起とともに、危険予知のための行動目標を声に出して復唱。ケガ・事故ゼロはもちろんのこと、始発列車までの限られた時間内で必ず工事を終了しなければならないため、ミスや作業手順の不備は決して許されません。そのため念入りな確認作業と準備を万全にして現場へと向かいました。

蝶矢踏切道~三和踏切道間300m、三和踏切道より架線自動車3台が進入する。

今夜は架線自動車と呼ばれる高所作業車が3台出動して張り替え工事を実施。架線自動車とは、高所作業用のバケットがついた、車道も軌道も走行できる軌陸両用車です。そのため現場に到着したらタイヤから軌道を走る鉄輪に変換し、レールの上にスタンバイしてスタートします。ちなみに架線自動車にも各鉄道会社に独自色があり、京阪電車の場合は“安全色”のイエローと“車両カラー”のグリーンを効かしたツートンカラー仕様。午前1時20分過ぎ、精鋭の技術者11名が架線自動車3台に分散乗車していよいよ作業が始まりました。

正確で無駄のない
スピーディーな作業を黙々と進行させる。

『電車線張り替え工事』は、最初に摩耗した旧線をゆるめて外す準備後、ドラムに巻き付けた新線をドラム台より各架線自動車の上部に通して張り上げます。アイ管と呼ばれる機材で圧縮して既存線につなぎ、旧線に添わせながら新線を這わせていきます。その際にローラーS管というS字状のフック工具を使い、架線に新線を次々と仮止め。次に旧線を順次外しながら、同時に新線に張り替える工程に入ります。旧線と新線が2本並んだ状態で一定区間ごとに着実に手作業で2つの線を張り替える作業は、高台のバケットに乗った状態で手早く行わなければなりません。夜間のため、沿線にお住まいの方の迷惑にならないよう、作業中の騒音や話し声は極力控えなければならず、架線自動車を動かす合図もトランシーバーで行うため工事現場は話し声ひとつ漏れない緊張感が保たれています。そんな中で黙々と続く作業の光景には、互いを信頼し、スキルを磨き合う者同士の阿吽の呼吸が流れていました。

旧線から新線へ張り替えを終えたら旧線を巻き取って工事は午前4時前に無事終了。

新線をすべて張り終えたら、今度は仮止めをしておいた旧線をドラムに巻き取る作業を行い完全に撤去します。電車線の巻き取りは相当な力を要する作業です。また、巻き終わりはしっかり固定しないとゆるみが生じ、巻いている線が暴れて切断面でケガをすることもあるので十分な注意が必要です。3名がかりでドラムに巻き取り、無事に終了しました。300m区間の古い電車線が新しい電車線に入れ替えられ、既存線とつなぐと作業完了です。すべての工具が元通りそろっているかチェックして工事は終了。今回はカーブや踏切の多い区間ではなかったため、工事は順調に進み、予定より少し早めの午前3時50分に終了しました。

自分たちだけで全交換を行う『電車線張り替え工事』は
京阪スピリッツの象徴。

今回現場の責任者として工事を指揮した電気部電気課の小西俊治係長にお話を伺いました。

電気部の担当は多岐にわたります。信号や踏切の保安設備や電路設備、変電所設備など実にさまざまな種類の保守・点検業務をカバーしなくてはなりません。ですから時には協力会社に協力をお願いする場合もありますが、この電車線張り替え工事だけは、異常時を除いて100%私たちの手で行います。電車は電気があってこそ。電気を途切れさせることは、すなわち電車を止めることを意味します。それは決してあってはならないと電気部144名全員が使命としています。とはいえ、雷など天災でいつ電車線が断線するかはわかりません。その時に素早い復旧を目指して私たちは命綱である電車線の保守は自分たちでできるように日々修練をつんでいます。私は入社して38年が過ぎましたが、これまで断線しても私たちの手で素早い復旧を行ってきました。そうしたことの小さな積み重ねが、お客さまの信頼感につながっていくと信じています。

エピローグ

電気部の技術者は日中京阪全線をくまなく歩き、電気系統を細かくチェックしています。その点検結果に基づいた保守作業計画を策定し、毎日保守作業に取り組んでいます。京阪電車では永年技術を磨き上げ、その技術を伝承しています。「安全・安心」の確保を心がけている技術の伝承が、今日も京阪電車の「安全・安心」を支えています。